~2 透明。
真っ白なまばゆい光の中から、彼女のすがたが近づいていきて、そしてその眼差(まなざ)しが僕の心をつつみ、抱きしめて、とらえて離さない。もはや、どこへも逃げられない。僕はもうどうにもならない。僕は完全に支配されてしまった。 僕は、まばゆい彼女の光に包まれていて、溶けて同化していって、そして精神は、肉体を離れて夢の世界をさ迷っている。透き通るような純粋で透明な、永遠の世界である。もはや、この肉体も、そして人生という時間も意味を持たなくなっている。そうした、永遠のタマシイ(魂)の世界を僕は垣間見ている。束の間の瞬きするほどの一瞬である。僕は永遠の世界を見ていたのである。 僕はもう金縛りになってしまっている。めまいがしていて、目の前がまぶしく彼女以外はなにも見えなくなってしまっている。そうだ、これは天使そのものだ。天使が地上に降りてきたのだ。 ふわふわ、ひらひらと地上をアテもなくさ迷い漂いながら、現れたり消えたりしているマボロシや、カゲロウのようなものなのである。 僕は現実の世界に、生きた天使を見ようとしていたのである。しかし、そんなもの有るはずもなく、また、それは現実に有ってはならないものだったのである。しかしまた、それは、そうやってしか自らを表現し得ないものだったのである。 戻る。 続く。 |