「鏡の中」

〜7、眠り。


だからこしたことは、実に純粋でストレートで透明な世界なのである。理屈抜きでわかりやすく、そしてまた筋の通ったマジメな現象なのである。

しかし、非常に危険で注意すべきことでもある。いつのまにか知らず知らずのうちに自分が呑み込まれて、見失われ、自分のタマシイをオバケに支配され、乗っ取られるのである。

自分で自分がわからなくなって、いつのまにか自分のタマシイを見失しなっている。そして他人のタマシイの一部分になっている。この方がラクだしシアワセなのだ。自分自身の本当の苦しみや悩みから解放されるのである。そうやって、いつの間にか自分で自分を殺している。もはや目覚めることもない。そしてそれに気づくこともない。眠り続けることがシアワセなのだ。

自分がこの世から消えて無くなった。自分自身がわけのわからない他人、忌々しいオバケになってしまっている。自分が見えない。見ようともしないし、見る必要もなく、見てはならない。自分自身の本当のすがたは、知ってはならないのである。オバケの自分を見てはならないのである。

鏡(かがみ)に映っているいる自分と、ホントの真実の自分とを勘違いしているのである。それは見えるカタチだけの、なんの意味も実体も中身も無い空想の世界なのである。それに自分が呑み込まれて自分自身を見失っているのである。

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