存在の理由。
〜６、「生存」
| アジアには、その必要がなかった。稲作は土地に人を縛り付けるものであった。それは、長男に土地を相続させ、次男以下を見捨てるものであった。そうやってそれは、尊属(目上の人)に対する上下関係として固定化される。だから絶対的で不変なのである。この秩序から外(はず)れた者、逆らった者は生きて行けない のである。生きて行けなくできているのである。そうやって「家」というのが維持され続いて行くのである。 そして、それは同時に外に対しては、皇帝に対する絶対的な隷属として正当化される。皇帝に対する絶対的隷属は、自分の親に対する孝行と同じものとして受け止められている。つまり、親孝行な者は、皇帝に対しても絶対的に忠誠であって、皇帝（天皇）に逆らう者は、自分の親に逆らうのと同じと見なされて、家からも追放される。親はそれを、自分をないがしろにするものと見なしている。家というのは、生存の手段としての土地であって、それから見放されることは、つまり、死を意味する。 |