「幻想」
〜3、衝動。
そうしたことを、夢は意識することなく行っている。無意識のままで。自分が経験したこと、感じたことを、なんの理由づけも根拠もないままで行っている。イヤ、むしろ、そうした理由がないからこそ夢を見るのかも知れない。そうやって自分の理由を求めているのである。わけがわからない、それがなぜなのかもわからない、得体の知れない未知のものなのである。だからこそ気になるし、自分の記憶の中に残しておかなければならない、と思えてくるのである。 記憶として残すといっても、それがいったい何なのか、自分でもわからないものを残そうとしているのである。だから、とにかく何でもよい、せめて、それを暗示し、象徴し、導くだけのものであってもよい。イヤ、そうするしかないのである。しかし、それすらも出来ないのかも知れないのである。 なぜなら、それがいったい何なのか、自分でもわかっていないからである。得体の知れないものをどうやって記憶すればよいのだろう。記憶のしようがないのである。だからそれは、自分自身の中にある根源的な衝動といったものなのであって、コトバになる以前の、イメージとかヒラメキの世界なのである。それともあるいは、自分自身の孤独な幻想の世界なのである。 |