「言葉(コトバ)」
〜2、問い。
しかし、それにしても、この「あける」。あけた後にはいったい何があるのだろうか。開ける、明ける、空ける、それではいったい何をあけていたのだろうか? 物ではなくて気持ちの上で。あけた後にいったい何を見ようとしていたのだろうか? いったい何を期待し、予感し、 あるいはまた、何かに追い立てらっれて仕方なく「あけて」いたのだろうか。いったい何が、そうさせたのだろうか。 最初はたぶん、自分以外の外の世界が、自分の気持ちと係わりなくアケて来たのだろう。夜が明ける、空が明ける、視界が開ける。そこで何かが見えてくる。今まで見えなかったものが。そしていつかじぶんからも「あける」ようになる。カゴを空ける、目を開ける。しかし、いったいなぜ? 何がそうさせるのだろうか。 これは、今いる自分とは別の、異質な外の世界を見ているのである。もちろん、それは同時に、自分自身の知られざる一面をものぞき込むことになるのである。そうやって自分をたしかめ、自分と他者、外の世界を区別し、外の世界とは違う自分自身というのを見ているのである。それは自分で自分を確かめ、認め、そして自分にめざめようとしているのである。自分と他者うぃ区別して、異なるものとして自分を意識しているのである。そうやって、自分を探し、みつけ、そして自分自身に問うているのである。自分は何か? と。 |