「同一性」


〜1、偶然。


ごくありふれた、どこにでもあるような、どうでもよい、そんな日々の日常のくり返しも、そして見るもの聞くもの触れるものなどの、自分の感覚のすべて。あるいは、そうした出来事とか、それの経験や記憶、そして、それらが意識されることなく、感覚や情緒のなかに残っていて、それが知らぬ間に、意識されされないままに、自分自身の感じ方や情緒の一部となっている。

これはリズムであり、パターンであり、無意識の世界で繰り広げられる自己の最適化の作業なのである。それは、言い換えると、情緒の背景、下地となっているもので、これなしには感覚も感情も、そして情緒も成り立たないのである。

自分の気づかないところで、知らぬ間に、自分とは別のところで、自分が型にはめられ、ラインに乗せられ定められて行くのである。しかしまた、それが個性なのであり、自己と他者を区別する境界線となっている。すべてが気まぐれや思いつき、そのときの気分しだいで決められていて、何もかもが気ままな偶然のようではあるが、けっして、そうではない。本人から見ると気まぐれに見えても、他人から見るとそうではないのである。

もどる。              つづく。