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春かすみ



早春。外気も地表面もまだ冷たい冬だ。
ただ太陽だけが暖かく、そして日照が長い。冬でも日差しが強い日があるが、春の日差しは早くから昇り、そして長くとどまる。そしてこの直射光が地面と山野を照らす。この温度差。外気と太陽が直射する地面との温度差が、薄いキリ(春かすみ)を発生させる。

そして、この時期の外気というのが、南からの湿気を含んだ空気である。それだけ気温も高いが、湿気も多い。それが冬の夜の冷たい地表面で冷やされ、水分(キリ)がしぼりだされる。そして朝方には、太陽の直射光によって、地表面から蒸発する水蒸気によって、春カスミが一層濃くなり、昼頃にはたいてい薄れて消えている。

早春の、南からの湿気を含んだ空気、そして、いまだ冷たい夜明け前の地表面。そして太陽の直射光。日照時間の増加に伴う昼夜の気温差。こうしたことが春カスミの世界を現出させる要因となっている。

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