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だいたいから日本人好みの「色」というのは、淡(あわ)い、ぼやけたような色であって、極端に派手な色は好まないのである。たぶん島国という、国土が狭く人間同士が常に接近していて、派手な色は目立ったり、イラついたり、気が散ったりして嫌がられるのである。 さらにまた、服装が持つ他の目的、つまり個人の自己主張というのが日本ではほとんどかえりみられない、というか、自己主張の必要そのものがない。反対に、まぎらわしく、わずらわしいだけだと見なされている。 誰も変わったこと、目立つことはやりたがらないのである。それは集団の和を乱し、協調しようとする集団の秩序を破壊するものと見なされている。実際、そうならざるを得ない、そうした歴史的・空間的・文化的制約の下に生きてきたのである。 島国という空間的にも狭く、そしてそれ以上に、歴史的に人間というのが同じ場所で、同じ暮らし方でもって、同じ子孫が昔からずっと同じように、数百数千年にもわたって生きているのである。 「自分たち」というのが、そうやって受け継がれて来たのである。だから誰もがお互いのことをよく知っていて、たとえ初対面であっても身振り素振りだけで相手がなにを考えているのか、たいてい分かってしまうのである。 |