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1、山々。



日本は、どこにいても必ず山が見える。地平線の代わりに山々と、反対側に海の水平線が見える。山か海が必ず見える、地平線の無い世界である。日本は「島」なのである。(北海道だけは別で地平線が見える)

遠くの山々がかすんで見える。晴れた日にはよく見えるが、カスミ(モヤ・キリなどの水蒸気)が立ち昇ると、山々の姿が消えてゆく。人間と外の世界との間に空気があって、その中の不飽和水蒸気が人間と外の世界との間をへだて、かすんで見せている。

現れては消えて、消えては現れる。まるで蜃気楼かマボロシのように。もしかすると、それは僕の心証の世界、僕の精神が作り出した幻想の世界のように思えてくる。だから、いつも定まらず、うつろいながら、まるで空間の中をひらひらとただよいながら、生成と消滅をくり返しているのである。

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