| index ＜ 日誌 < j生理的情緒＜ 「暗黙の合意」p5/ |
| 盲目的隷従というのは、自分というのを他人に求めるものであって、肉体を離れた自己の精神が、他者の精神の下で、他者に取り憑いて生きて行こうとするものである。精神が、現実に背を向けていて、自分とは離れた所で空想上の自分として存在している。だからまた、自分の肉体と精神がもたらす、痛みや苦しみもないシアワセな状態である。 それは迷信であって、非現実の世界に、自分の現実を見ようとしているのである。心のどこかで、それがウソとわかっているからこそ、これを奇跡というのである。そしてまた、こうしたウソにしがみつく以外に、現実の中で生きて行く方法がないのである。だれにとっても現実は苦しく、観念だけの空想の世界は自分にとって優しい世界なのである。まして、自分の精神といったものを放棄していれば、なおさらである。他に選択肢などない。 それは反転し、逆転し、さかさまになった世界である。自分と外の現実世界との間に、合理性や秩序、そして何か理解の出来る理由といったものを見い出すことが出来ずに、そのまま現実とかかわっている。だから何もかもが逆転し、さかさまになって理解されるのである。それはちょうど、肉体の視覚器官が外の赤色によって、目の中で青色を生成する「補色」のようなものだ。そうやって、自己と現実をバランスさせ、衝撃を避けているのである。 自分と外の世界との間に境界線を作り出し、未知の自然から自分を引き離して、そうやって自分を確かめているのである。このような逆転し、反転した精神の世界。だからこそ中身がカラッポで、外の現実に自分の実体を求めることになる。もちろん、そんなものあるわけがない。 |
index ＜ 日誌 < j生理的情緒＜ 「暗黙の合意」p5/