| index ＜ 日誌 < u列島＜ 「豊芦原の瑞穂の国」、中p9/ |
| だから「陽気」は、陽気でない世界からみるとよく見えるのである。陽気の中にいては陽気が見えないのである。どんより雲と蒸し暑さ、あるいは冬の凍える寒さなどといったものを知っている者にとっては、「陽気な天気」、「陽気な性格」というのは、その意味でわかりやすいのである。蒸し暑さから陽気、陽気から寒気へと無限に変化し続ける移り行きの世界を日本人は生きている。しかしまた、そうした変化というのを知らない世界を生きる民族や国民もまたいるのである。 しかしまた、そうした自分とは異なる部分というのを、知ることが出来るというのは、感覚的、あるいは言葉とか理屈の上で理解しているのであって、心情的、ないし情緒的に理解しているかと言えば、そうではない。それは確かに知ることも納得することも出来るものではあるが、その中で生き、そのなかで同化し、自分自身をそれと同じものとして一体化しているものではないのである。逆に言うと、だからこそ、それが自分自身に自覚されて来るのである。自分とは別の異質なものとして知られてくるのである。意識もされるのである。 情緒と、そこから来る心情といったもの、そして、それ以前のところにある、感覚の感じ方といったものが、そもそも根本的に異なるのである。そしてまさにここに、民族を民族たらしめているもの、その民族と他の民族を区別している特徴や、固有の特殊性といったものがあるのである。 |
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