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こうした「いさぎよさ」というのは、日本列島の宿命とでも言えるものであって、それは台風や地震などの、自然の絶対的な不可抗力が、人間の潜在意識に植え付けて来た習性のように思えるのである。 そして、さらにもう一つ。日本列島の地理的条件、言わば、島という閉じた空間であるということが、こうした「いさぎよさ」に特殊で特有の日本的な感覚と情緒を示し、そして方向づけている。 「いさぎよさ」のアッサリは同時に、弱者をバッサリと切り捨てる残虐性を内に持っている。そうせざるを得ないし、そうすることによってのみ社会とみんなの調和が達成されるのである。バッサリと切り捨てるしかないのである。「いさぎよさ」は、そうした無限の苦しみやつらさをも意味しているのである。それは忘れられた者、失われた者、そして記憶の中からも排除され消えていった者たちのことである。 文明とは枠であり、その範囲であり、そしてその方向性である。そして、それにそぐわない者は排除するのである。これが文明のカタチというもので、これなくして社会は成り立たないのである。 |
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