index < 日誌 <古代ギリシャ< 「映し出すもの」A-F/


 
C、地政学。



ギリシャ精神は、精神が自然の活動と本質的に関係するように、制約され、条件づけられているというところにある。制約というのは、ギリシャの自然環境のことである。この現実の自然環境の上で、言わば、ギリシャの自然という舞台の上で、ギリシャの精神が生成されカタチとなっていったのである。

ここにギリシャ精神の根本的特徴があって、それはまた、ギリシャの自然の特徴でもあったのである。従ってまた、ギリシャの自由は他者からの刺激を必要とし、その刺激を自発的に変化させ、再生産してゆくというかたちをとる。ここでいう他者とは自分以外のもの、すなわちギリシャが置かれていた地政学的条件のことである。

自然と本質的に関係するというのは、それへとむりやり追い立てられるからである。むりやりというところに自らの内的限界と制約があって、関係せざるを得ないというところに、自然環境からくる制約と条件、残された生存の余地があったのである。だから精神は、いまだ自由でも、自発的でも、自覚されてもいないと言える。


              履歴へ

index < 日誌 <古代ギリシャ< 「映し出すもの」A-F/