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「方向性」とは、時間の流れのことであって、その瞬間ごとの断面をいくら見ても、何のことかわからないのである。時間の流れの中で、変化の過程を見ることによって、はじめて方向性が見えてくるのである。 だから、方向性とは変化であり、移行であり、そしてまた、それを規制し決定づけている必然性なのである。現実とは時間の流れでもあって、その中で自分と他のものとが区別される内的必然性を示しているのである。内的必然性の原理といったものが、時間の中ですがたカタチとなって現れてくるのである。 それは例えれば数学のベクトルであって、サイズ(縮尺)とカタチと共に、方向を持つのである。時間と共に変化し移ろいで行く方向性をもつのである。方向を持たないのは、言わば、歴史を持たないのと同じであって、時間の概念が希薄なのである。目的も意図も、理由も不明のままなのである。自分というのが意識されず、自覚もされていないのである。 それがあるように見えながらも、主観性の枠(わく)を越え出ることがないのである。思い込みと気まぐれ、行き当たりばったりの感情だけが支配する世界である。客観的な理性にまで届くことがないのである。 |