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3、空気。



それはトンボのように複眼でもなければ、サカナのように超広角でもないし、イカのようにお腹の下に目が付いているのでもない。人間の目は今あるこのようなカタチとして選択され指向されて来たのである。それが人間が持つ特殊性であり、方向性であり、現実の可能性のすがたなのである。人間は自分をそのようなものとして選択してきたのである。

人間の目の特徴とカタチ、そしてその機能によって、そしてそれをつなぐ神経と頭脳との関係で様々な現象が引き起こされる。これが「見える」という現象である。そしてまたこの見ている目と、見えているものとの間にある空気によっても、その見え方が異なってくるのである。

同じものが、あいだにある空気によって違ったものに見えることがあるが、これが実際の現実の見え方なのである。もっと言えば、目の中の生理や、それをつなぐ神経の性質、さらにそれを処理する頭の中の記憶の世界もまたそうなのである。

拡張されたり、歪んだり、変に一部分だけが強調されたり、実際とは違う姿で見える場合もある。多分に偏見とか、自分勝手な思い込みで見ている。むしろ、観念化された「思い込み」の世界を見ている、というのが通常である。


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