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「輪郭線」



線によって、ものと、その周りのものとが区別されて見えてくる。それは境界線のことであるが、この境界線に囲まれた中にそのもの特有の色とか模様が現れている。

ものというのが、外の世界に対して自分自身を表現して映し出されている。それがものの表面というものであって、それを外の世界と区別して包んでいるのが、ものの輪郭線なのである。そうやって世界というのが、様々な異なる異質なものによって成り立っているというのがわかってくるのである。

異質なものとは、つまり自分と異なるもののことであって、そうやって自分と他人が区別されて意識される。

精神の世界に境界線が引かれ、それぞれが別のものとして意識されてくる。そうしたことが輪郭の境界線として見える現実の世界のみならず、心の中の精神の世界でも意識され反映される。何か得体の知れない、おぼろげでぼんやりしたイメージや、わだかまりとして映し出されている。

ぼやけておぼろげな途切れ途切れの輪郭線のなかから、何か得体の知れない正体不明のものが浮かび上がってきて現れ出ようとしてしている。白日夢や幻、目の中の瞬間的な目舞いや立ち眩み、あるいは夢の中の世界がそうである。自分自身の中の無意識の世界を見ているのである。


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