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春のカスミ(霞み)の風景を近くで見ると、輪郭の部分が、光の乱反射と透過と回り込みによって、シロ色に薄くぼやけて見える。それに反して色の鮮やかさだけが際立って見える。まるで白いキャンバスの光の世界から出てきたように。 山々や野原の何もかもが丸みを帯びて見えてくる。カスミによる光の乱反射もあるが、風景の中の植物全体がおしなべて、みながそうなのである。というのは新芽が開いている隙間へと向かうからである。 すなわち、まずヨコ方向へと向かう。つまり太陽の光をもっとも効率よく受けようとしていて、そうしてなにもかもが全体とてして、丸みを帯びて見えてくるのである。そしてまた、そうしたことがおこるのは、春の日の光のおだやかさと、カスミによる空気中の水分が豊かだからである。誰に対しても優しく親しいからである。夏と冬では、こうしたことは起こらない。 |