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精神の領域

それは、もともとなにかの不具合なのである。もともと無いものを見ているのである。あり得ないもの、あってはならないもの、あるはずのないもの、場違いなもの、そして、もともとそこに存在し得ないし、存在してはならないものなのである。

そうしたことが意識の根源にあって、それが自分の存在を否定するものとして作用している。自分を意識する、自分で自分を自覚するというのは、このことなのである。自分が、あるいは自分の精神といったものが、自分の中で分裂しているのである。

そうして致し方なく、いやいやシブシブ、自分というのを認めさせられるのである。自分とは違う自分というのが迫ってきて、自分と対立するもう一人の自分というのをムリヤリ意識させられるのである。

現実を生きている自分とは違う、もう一人の自分とは、これが他人と違う自分自身のことなのであって、他人と区別される自分だけの閉じた内なる世界を見ているのである。これが自分の、自分だけの、オリジナルな自己の精神の領域を保有しているという証明なのであって、これが自意識なのである。



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