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冬の風景。



夏には輪郭線がにじむ。線と線がつながって、なめらかに連続する。そして太い。空気中の湿気(水分)の多さが、そう見せているのかも知れない。

冬には、風景の輪郭線が途切れ途切れになって、無限に小さな単線の集合体のように見えてくる。無限に小さく細かいそして短い線で、風景全体が構成されている。かわいているのだ。乾燥して、硬い感じになっている。生気がなく、静止し、固定し、硬(かた)く閉じた感じだ。風景のすべてがつながりと交流を欠いた世界。無機質な感じである。

風景の「色」というのが、かすれて、くすんだ色で、カサカサしていて、かたくて、粒子の粗い映像。生気を欠き、コントラスト(明暗)が弱く存在感の乏しい世界。物体表面に艶(つや)と潤いがなく生彩を欠き、なにかが生きているという物体表面から反射する様々な色彩や輝きもない。生き生きしていて、しっとりとにじんで来て、溢れ出るような、そうした場面にも情感にも乏しい世界である。

時間が止まったような、理知的で内向的な世界である。


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