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5 「日本的なもの」 |
1、 物だけ入る。
日本は島国である。つまり、 周りを海が取り囲んでいて、文化というのが、 外から直接に伝わることがなかったのである。 海が、異民族とそのシステムの、 直接的で大規模な侵攻をはばんでいるのである。 大陸からの衝撃と強制力が、直接の、 物理的強制として作用することがなかったのである。 だから大陸との関係、すなわち、 日本にとって見れば、世界との関係は間接的である。 日本は自分以外の世界と、直接かかわることなく、 間接的に交流してきたのである。 そして自分が気に入らないことがあれば、 堂々と拒絶できたし、それができる国であったし、 また事実、有史以来ずっとそうであり続けたのである。 少なくない人口と、まとまった国土、 そして周りを囲む海ががそれを可能にしたのである。 文化と技術を見ると、 それは、自らの、内発的とか内在的というよりも、 むしろ、外的なものである。それは、 外(そと)から持って来られたものである。 そして、異民族と共にというよりも、 主に、物だけが海を渡って入って来たのである。 人といっしょにではなくて、物だけが入ってくる。 それは貿易として入って来たのであって、 異民族による強圧的な軍事侵攻の結果として、 植民と、その統治システムのオマケ、延長として、 入ってきたのではないのである。 こうした、日本史における唯一の例外が、 戦後のアメリカによる、 異質な新統治システムの移植である |