index < 日誌 < 冬、18-56「冬の陽だまり」 |
冬の陽だまりは、内に向かってかたく閉じていた精神というのが、陽だまりの中で外に向かって開いてゆくのである。それが情緒的なここちよさとして感じられてくるのである。もちろんそれと意識することなく気づかないままに心が開いていって、外に向かっているのである。 それは何か内面的で意志的でもある。何かを目指し求めて緊張しているような状態である。求めてもいないのに何かを求めているように思えてくる。冷たく凍り付いた眠り込んだような世界に、そこだけがまぶしく光り輝いている。だからまた、光の方向へと向かわざるを得ないのである。誘われ導かれて行くのである。 夏の暑さは、冬とは正反対である。だらけて、ふやけて、緩みっぱなしという感じである。感覚の暑さの中で耐えられなくなった情緒が、ターゲットを求めて無差別にだれかれ見境(みさか)いなく、どこへでも出てゆこうとする。精神はいつも外を向いている。けっして内向的ではない。そんな余裕などまったくなくて、いたたまれなくなって出てゆくのである。感情的、衝動的、直接的なのである。 それは、空気の色にも表れていて、夏の空気の色は限りなく薄い黄色である。そして冬の空気の色は、自分を省みるような内向的で沈んでゆくような薄い「青」である。冷たく冷徹で意志的である。 |
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