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4、潜在。



しかしまた、「生理的制約」といったものもある。ちょうど自分の肉体と意識のあいだにあるものである。例えば、体操や水泳、簡単なスポーツなどがそうである。たしかにそうやって身体を動かすと気持ちが良いのである。人間の身体というのは、そのように出来ているのである。

身体の動く速度、方向、リズムといったものが、何らかの規則や必然性の上に成り立っているのである。それが人間という肉体の原理にかなっている、ということである。人間の肉体もまた何らかのあらかじめ定められた傾向や特性を持っていて、それによって規定されているということである。

身体の生理的影響下にある感覚という見かたからすると、視覚は少し複雑で、視覚の生理には無意識の、いまだ自覚されることのない、潜在的な観念の堆積が混じり込んでいる。

それは、潜在的な、反転されて沈んだままの、直接表面にすがたを現すことのないものであるが、しかし、たしかにそうしたものが精神の水面下の奥底にひそんでいて、気持ちのあり方とか情緒といったものに影響し、制約し、方向づけている。

しかしまたそうしたことは、自分自身の肉体の五感すべてにいえることなのである。さらに五感同士でもまた無意識のうちに連携し連動しながら、つながっていて、それ特有の感じ方といったものを作り出している。

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