| index＜ 日誌 ＜ c信じるもの ＜ 19-48「Ⅱ、正義」p5- |
| それが見えず、知られず、理解もされない。なぜかと言えば、それは本人がそうした条件の下で生きているということである。それは、そうした本人自身の存在の仕方を言っているのである。そしてこれが、当事者たる彼自身の生き方なのである。 人間は、物的空間という現実の世界を生きているのであって、そうである以上、見えるもの、知ることができることに限界と制約があって当然なのである。要は、そうした人間の感じ方や感覚、そして考え方のパターンといったものが定形化・規格化されている、ということなのである。そういうわけで、そうした範囲のことしか見えないように、出来ているということなのである。 現実の、物的空間の制約ことを言っているのではなくて、それを見る人間の側の見かた、見え方、感じ方のことを言っているのである。だから本来、見えているはずなのであるが、それに気づかず、見えず、知られることもなく、理解もされない、ということなのである。 ただたんに、それが見えないというのではなくて、それを見ている本人自身に根本的な欠陥がある、ということなのである。つまり、自分で自分を意識する、そうした自意識が欠落しているということなのである。自分の自意識を認識する自己意識が抜け落ちている、ということなのである。 だからまた、それが常に、他人からの「借り物」の考え方や感覚でもって、ものごとを見ているのであって、そうである以上、現実というのがいつまでたってもハッキリと見えないままなのである。要するに、自分の考えも感覚もない以上、そうなってしまうのである。 |