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自分と他人が、どこまでいってもハッキリ区別されず、自分のものと他人のものとの区別もハッキリしない、そうした社会である。そうだとすれば、そうした社会を成り立たせているキズナ(絆・紐帯・band)、原理といったものは、人間的な感情や気分だけで支配される。客観的な基準というものが成り立たないからである。 すなわち、持って生まれ出て来た出自に基づく上下の関係、身分の関係だけとなる。合理や倫理以前の、永遠に変わることのない身分的な「生まれ」によって決定される。 自立し、自律した個人というのが存在しない世界なのである。しかしまた、だからこそ、市場や交易、宗教、祭礼などといったものが重要な意味を帯びて来る。すなわち、人々を結びつけ、繋(つな)ぐキズナといったものが強く求められるのである。 あるいはまた、それを求めて共同体の外へ出て行こうとするのである。自分たち自身の、客観的で普遍的なものへの示標としてである。祈りであり、信じるもの、そして他人と分かち合えるもの、共有できるものの指向性としてそうなのである。 |
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