――イメージをカタチに(・Image)―― 今日、夜明け。 こっそりタバコを吸いに外へ出ると、 少し異様な風景が…。 キレイだ。端正だ。美しい。 徹夜したときは、 たいてい、目の中の瞳孔が疲れて縮んで、 風景が滲んで見える。 が、今朝は乾いて見える。 今、ポツリポツリと雨が…。 雨と共に景色が滲んできて、鮮やかに浮かぶ。 雨と湿気で遠くの景色がかすむ。 でも、やっぱりいつもと違う。 キレイだ。 目が疲れてるせいか、まぶしい。 雨が上がったのでもう一度見る。 そうか。 いつもとは、色が違うのだ。 形も違う。 全体として空に向ってる。木の枝も、草花も。 それに、早朝は空気と匂いまで違ってた。 音も。小鳥がさえずっている。 そうか。 僕は季節と時刻の狭間にいたのだ。 __________________________________________________________________________________________________ 植栽の色が、 とても鮮やかではあるが淡(あわ)く、力強さを感じさせない。 かといって弱弱しくもない。 というのは全体として、色が孤立しているいるのではなくて、 あちこちで平行してみながそうなのだ。 それらが周りの無機質なものまでも、端正に浮かび上がらせている。 よく見ると、くっきりした色ではなくて、まだはっきりしない淡い色。 まだ幼い、出来立てホヤホヤの未分化の色。 これが、淡い夢見るような感触を抱かせる。 冬に眠っていた生命が、このときに、いっせいに活動を始める。 生命体内部から満ちてきた何かが、はじめて外気と出会い、 戸惑い、驚き、ためらいながらも自らを形づくる。 ちょうど、その瞬間に僕が居合わせたのだろう。 あのときは、何か空気までちがっていた。 風がなく空気がよどみ静止した空間。 心地よい気温、キレイな空気。匂い。 小鳥のさえずりさえも可憐だ。 まだ、季節の入れ替わりの瞬間なのだ。 |