――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-1130-3 市
<妄想ワールド>秋・2011-1130 B キリ。 日本列島は、キリが多い気がしてならない。 だいたいから、 どこを向いても「山」ばかりなのである。 平野といっても、 谷間の少し開けたくぼ地か、 山々に囲まれた盆地か、 それとも、せり出した山々と海に挟まれた、 比較的小さな平野である。 だから中世日本の絵物語を見ると、 あちこちに、山が顔をのぞかせていて、 地上との間を、 雲のような霧(キリ)が、棚引いている。 そして、この棚引いた雲を「区切り線」として、 物語の様々な異なる場面が、描かれるのである。 よく見ると、 それは絵の構図(レイアウト)上の都合のように見えるが、 決してそうではない。 もともと山が多くてキリが発生しやすく、 このキリが、現実に人々を隔(ヘダ)てて、 例え同じ近場であっても、キリの中と外では、 異なる情景を生み出しているのである。 そして、このキリが移動するのである。 時間的にも、空間的にも。 そして中世の画家は、「絵物語」というものを、 このキリで隔てられた空間の中で、 描いている。 |