――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<ルネサンスへ<2012-0618 市
春かすみ。 空全体を、非常に薄い霧が覆いつくし、 そのかすみ(霞)の中で、 太陽がおぼろげにかすんでいる。 太陽からの直射光は、ほとんど届かない。 この地上の景色を映し出しているのは、 「春かすみ」によって、 乱反射を繰り返して地上に届く、「間接光」のみである。 これがとっても明るく、かすみ(霞)の中の乱反射で、 風景全体が白くボヤけて、迫って来るのである。 あたかも、自分自身で光って、輝いているように。 太陽が映し出す世界は、幻だったのだ。 光の源泉は太陽ではなくて、 地上の風景がそうだったのである。 それは、天上の世界である。 そして、自らを映し出す、この「光の中」で、 僕は自分自身を見ていたのである。 「春かすみ」は、光を乱反射させる。 コントラストが弱まって、景色の輪郭がボヤけて、 色の鮮やかさだけが、浮かび上がり迫って来る。 そして、周りのモヤが、それを繰り返し乱反射して、照り返す。 そしてこの光の道の中で、 景色がほのかに光り輝く。 これは、やはり何かを暗示している。 僕には、そう思えてならなかったのである。 何かとっても大切なものが、 僕の中で失われていって、そして忘れられている。 そんな気がしてならないのである。 何か、自分ではどうにもならない、 自分の証明みたいなものが、 そこにあるような、そんな気がしてならないのである。 |