ルネサンスへ2013-1228-1   市



消えた私 1、原理。



どうしても、偶然だとは思えない。
何か強烈な意志のようなものが、
それらの背後にあって、
世の中を動かしている、そう思えてならない。

何の痕跡もなく、現れては消えて、垣間見せる。
そうやって、それを暗示し、示唆し、予感させる。
そして、知らぬ間に誘い、導き、追い立ててゆく。
そうした、抵抗不可能な、
何か、強力な意志の力のようなものを、
感じてしまうのである。

だれも、それと気づかないままに、
結局、それ以外に道などなく、はじめから、
そのように仕組まれているように思えて来る。
もとから、自分の中に埋め込まれた本能のように。
自分の中に、他人が入って来ている
僕と現実の間に、僕以外の誰か他人が入って来て、
僕の精神を、のぞき込んでいる。

自分というのが、自分とは別の誰かの、
強力な意志の力によって、
生かされ、支配され、そして運命づけられている。
自分の考え方や、生き方、
そして喜びや悲しみといった感情までも。
自分というのが消えている。

日本の格言で言うところの、
「私は他人様によって生かされている」、
というのは、ほとんど犯罪である。
自己の良心と人格に対する、恐るべき侵犯行為である。
そして、それこそがまた、
日本社会を動かしている根本原理の一つなのである。
 
 戻る。             続く。


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