index(索引)ルネサンスへ2013-1018-a  グラデーション。



① ぼやけたまま。

明暗のなだらかな連続する移動。
変化というのが、空間と時間ののなかで、
だれも気付かないうちに進行している。
いったい、どこがどのようにと問われても、
輪郭というのが定(さだ)かではないのである。
あいまいで、ぼやけたままなのである。

だから、常に変化していて、その中で、
何かがヒラヒラとただよっているのである。
まるで、心の中をさ迷う何かの忘れ物のように。
あるいは、主人(あるじ)を失った魂(タマシイ)のように。

まるで、自分の心の中の谷間を、
のぞき込んだときのようで。底が見えず、
晴れることのない霧の中を、
ヒラヒラとただよいながら、落ちていく感じなのである。


自分というのは、何か得体の知れない、
漠然としたもので、それを、他者との関係性のなかで、
確かめていくことになる。自分と他者との、差異や共通点や、
感じ方の違いから、区別し、識別して分析していくことになる。

そして結局、それが何かと問われても、
わからないし、そもそも、答えようがないのである。
底なしの井戸のなかを、のぞき込むようなものなのである。
世界中の誰よりも、なによりも、最もわからないというのが、
自分自身のことなのだから。


 戻る。                     続く。

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