ルネサンスへ<2015-0117 自分以前。(  市)



自分以前。

いつのまにか気づかないうちに、
なにも無いはずの背景の中から浮かんできて、
背景から分離して、もとの背景とは違う、
別の理由で動いている。これは何なのだ?
背景のなかで何かが起こっている。背景のなかで、
背景でないものが出て来ようとしている。

それは、自分でも他人でもない、
自分の中に住む、もう一人の自分なのだ。
だから、自己との境界線があいまいで、
移ろいながらも、現れては消えてゆく。
もしもそれが、輪郭とその境界線をあらわにしたら、
それはその時点で、僕から分離・独立したのである
僕は何者かになろうとしていた。
夢とか願い、あこがれ、想い、望み、求めていた。
それらが僕から離れていって、独立したのである。

僕の知らないところで、
僕には、もはやどうにもならなくなって、
僕の知らない、自らの意志で動いているのである。
これは、僕の分身などではない。
もともとの僕以前のところにあったもので、
それがカタチとなって、
生き物のように映しだされたのである。

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