( 市)ルネサンスへ<2015-0313-b ぼやける、
1:境界線。
「ぼやける」というのは、人間の目の水晶体(レンズ)の、 焦点が合わないからである。だからこの場合。 ものの色とか明るさはそのままで、輪郭線だけが 不明瞭になるのである。これはレンズの都合なのである。 だからこの場合、背景とものの形の、 色と明るさはそのままで、それらが互いに浸食しあって、 境界線が薄れて、消えていって、 最後にはなくなって同化するのである。 境界線の線幅が広がっていって、もともとあった、 ものの違い、つまり、色と明るさの違いを決めていた、 境界線の輪郭がなくなる。そのかわりに、 広がっていった境界線が、淡い色と明暗の、 ゆるやかに変化する濃淡(グラデーション)として 変化するのである。 つまり、「ぼやける」という特徴は、ものの色とか明るさに変化はなく、 その輪郭だけがあいまいになって、色と明暗の境界がなくなってゆく のである。それはまた、あいまいになるのが、背景とものの境界だけで なく、境界に囲まれたものの表面の、そのでこぼこや陰影もまた、 同じように、あいまいになるということでもある。 ものと、ものの間の区別がなくなって、個性が消え失せてゆく。 背景ともの、そしてそれらを包む風景全体があいまいになって、 全体として均質化してゆくのである。輪郭の境界線が消えていって、 区別がなくなって、わけがわからなくなっていって、 全体として見えるのは、それらの痕跡としてのグラデーション、 明暗と色の濃淡のみである。 戻る。 続く。 |