(  市)ルネサンスへ<2015-0515-b



(冬): かすれて、くすんだ風景。


夏には、輪郭線がにじむ。
線と線がつながって、なめらかに連続する。
空気中の湿気(水分)の多さが、そう見せているのかも知れない。

冬には、風景の輪郭線が途切れ途切れになって、
無限に小さな単線の集合体のように見えてくる。
無限に小さく、細かい、みじかい線で、
風景全体が構成されている。かわいているのだ。
乾燥して、硬い感じになっている。
生気がなく、静止し、固定し、硬(カタ)く閉じた感じ。
風景のすべてが、つながりと連続性を欠いた世界、
無機質な感じである。

風景の「色」というのが、かすれた、くすんだ色で、
カサカサしていて、かたくて、粒子の粗い映像。
生気を欠き、コントラスト(明暗)が弱く、存在感の乏しい世界。
物体表面が、ツヤと、うるおいをなくし、生彩を欠き、
なにかが生きているという、物体表面から反射する、
様々な色彩や輝きもない。
生き生きしていて、しっとりとにじんで来て、あふれでるような、
そうした場面にも、情感にも乏しい世界である。
時間が止まったような、理知的で、内向的な世界である。

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