(  市)ルネサンスへ<2015-0515-d 風土、



1:出来ること。


人間が、生きて暮らして活動して行動する。
しかし、それ以前に人間は、生きていなければならず、
心臓が鼓動し、血液が循環し、呼吸がされていなければならない。
それは、人間の肉体の中にある、感覚や生理作用なのであって、
それがなされて初めて、人間は、生きて暮らし活動することができる。
そして、それを仲介しているのが、人間とその周りを包んでいる、
「空気」である。風土でいうところの、気候条件である。

人間の外にあるものとしての地理的条件は、
目に見えるものとして動かしがたく、
だれにもそれとわかるものとして、人間を支配し、
制約しているものであるが、気候的条件、雨や風、
湿気や気温などといったものは、目に見えるものではなく、
はっきりと、それと意識したり、気づいたり、しにくいものである。

それは、目に見える固定した形をもつものではなく、
たいてい意識されることなく、空気や、
熱を含んだ湿気(水分)として、人間の中に入ってきて、
人間の生理や感覚に作用して、それを規制し方向づけている。

リズムや情緒、うつろい変化する感覚の起伏として。
また、気質や気性としても。あるいはまた、
その民族の潜在的な可能性や、指向する方向性といったものを、
定め、暗示しているようにも思えてくる。


人間は、自分が出来ることしかしないし、
出来ないし、やろうともしない。
たとえ、出来ないことをしたところで、すぐに元に戻る。
そうなるしかないのであって、それが、必然なのである。

あるいは反対に、人間が、なにかを成しとげた場合でも、
それが、人間にとって「出来る」場合に限られるのであって、
そして、この「出来る」というのが、先に述べた、
自分の中にある潜在的な可能性が、現実化したものに他ならない。

何かを成し得るというのは、そうした素質がもともと自分のどこかに、
あるからであって、それが変化する外の世界に呼応して、
呼びさまされ、めざめて、発見されて、カタチになって、
現実化してゆくのである。

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