形(ｶﾀﾁ)。

ｶﾀﾁとは、点と線で構成される空間上での位置関係であって、
従ってまた、この抽象化された位置表示に、
物体の個性や質などといったものが、入って来る余地はない。
数値と方向によって定義される、ベクトルの世界である。
だからまた、個性や質などといったものは、
ｶﾀﾁとは別の色と模様でもって表現されるのである。

注意すべきは、このｶﾀﾁには、空間上の位置関係だけでなく、
時間的な位置関係も含まれるということである。
方向性というのが、時間とともに、方向に従い変化してゆくのである。

だからｶﾀﾁには、現実の物体の内実、質や個性には立ち入らない。
それは質として、色や模様として表現されるのである。
ｶﾀﾁは、これら色や模様、陰影などとは全く別の、
単に外面的なものなのである。
だから、この一元化された点と線でもって、
すべてを比較できるし、同一の基準でもって
理解することも出来るのである。

ｶﾀﾁといった場合、色とか模様は問題にならない。
問題になるのは、外面的な境界部分だけであり、
光と影、もっと正確に言うと、有るか無いかの、
白と黒だけで表現できるのである。