(  市)ルネサンスへ<2015-1113b



春かすみ。


早春、外気も地表面も、まだ冷たい冬だ。
ただ太陽だけが暖かく、そして日照が長い。冬でも日差しが強い日があるが、
春の日差しは早くから昇り、そして長くとどまる。そしてこの直射光が、
地面と山野を照らす。この温度差。外気と、太陽の直射する地面の温度差が、
薄いキリ(春かすみ)を発生させる。

そして、この時期の外気というのが、南からの湿気を含んだ空気である。
それだけ気温も高いが、湿気も多い。それが冬の冷たい地表面で冷やされ、
水分(キリ)がしぼりだされる。そして朝方には、太陽の直射光によって、
春カスミが一層濃くなり、昼頃にはたいてい薄れて、消えている。

早春の、南からの湿気を含んだ空気、そしていまだ冷たい地表面。
そして、太陽の光が真上近くから地面を照らし始め、そして同時に、
日照時間の増加が昼夜の気温差を著しいものにしている。
こうしたことが、春カスミの世界を現出させる要因となっている。

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