(  市)ルネサンスへ<2015-1225-b



春の風。


冬と同じ冷たい風ではあるが、真冬のような底冷えや痛さはない。
また、夏の前の心地よい風とも違って、少し緊張するような、
冷たさの残る風である。気温自体は冬の風の方が冷たいと思うの
だが、湿気が多いだけ、春は冷たく感じる。ただし、痛さはない。
刺すような感じもない。むしろ、クールな風だ。
身を引き締め、頭を冷やすような、清涼で爽快な感じの風だ。
クールで、何かを求め、向い、いざなうような風である。

冬の、祈りや眠りからめざめて、外の世界へと誘い、せかせるような
風である。そうした、何かを暗示し、予感してしまう、そんな風だ。

春、湿気を含んだ暖かい気団が南からやってくる。
地表を覆い、そして冷やされる。それが、朝の直射日光で、
地表間際の空気が暖められて、霞(カス)みとなる。
山々や、風景の輪郭が白っぽくかすむ。

春の輪郭はふっくらしていて、淡(アワ)く柔らかい感じだ。
それは、空気中の水蒸気、霞みと関係している。
それらが、しっとりとした潤いを感じさせる。
白いも靄(モヤ)とは、うるおいのことなのである。
春の空気の白さは、そうした、潤いのある、
気温と湿度を暗示している。

反対に、透明な青色の秋の空は、乾燥を意味している。

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