(  市)ルネサンスへ< 2016-0122-d



春の風景。


うつろい、うつりゆく。そして通り過ぎてゆく。
冬から春へと移り行く景色は、光が明るくなって、色も鮮やかになる。
そして、色とカタチがなぜか生きいきしてくる。なぜ、そう感じるのか、
自分でもわからない。「水」がそうなのかも知れない。
目に見えるカスミ(霞み)とか、草花の表面のうるおいとか、しずくが
そうなのかも知れない。

冬の景色はもっとカサカサしていて、うるおいというのが、
景色の表面にも、空気にもなく、景色全体がくすんで見える。
景色と目のあいだに灰色が入り込んできていて、だから、
少し暗く、そしてくすんで見える。つまり、光の明るさ自体が乏しい
のである。

春は反対で、むしろ、白色があいだに入って来ていて、
そのせいか、色というのが純粋になって、鮮やかさが際立ってくる。
そして輪郭というのが、少し消えているようにも見える。
明るく、そして鮮やかになった分だけ、輪郭の境界線が弱くなったの
だろうか?イヤ、そうではない。そうではなくて、周りを取り囲む空気に、
水分が多く、これが霞(カス)みとなって、光を乱反射させていて、
景色の中の輪郭線というのをぼかしているのである。

ただし、真夏のような、強烈なまぶしいほどの明るさではなく、
優しく穏(オダ)やかな明るさである。また、熱い明るさではなくて、
暖(アタタ)かい、ゆるやかに溶けて開いてゆくような、暖かさである。

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