(  市)ルネサンスへ<2016-0205-c



春の色~白い背景。


大気が白いのは、水蒸気を含んでいるからで、
地表面と大気の温度差を意味している。

地表に直射日光があたり、水分が蒸発し、これが冷たい大気の
なかで飽和されず、水蒸気のまま残るのである。これが霧である。
ただ、冬には水分そのものが少なく、あるいは凍ったままで、
霧とかカスミはそれほど発生しない。むしろ、早朝の一時的な霧が
発生することがある。

春には、それが一変し、南からの湿気を含んだ空気が、
地表で冷やされ、水分が絞り出される。さらには、朝の直射日光が、
地表から、特に川辺や田んぼ、山々の奥から水分を蒸発させて、
供給し続けている。だから春のカスミ(霞み)は、ずっと昼過ぎまで、
あるいは一日中、空がカスミでかすんで見えるのである。

春の景色の輪郭は、白っぽいというか、透明というか、
ものの色だけで線を構成している。あるいは輪郭線というのが、
白いカスミのなかで、とけてにじんで消えている。色の鮮やかさだけが
見えてきて、その境界が白い背景のなかで消えている。
だから、景色というのが、白い背景のなかで、
ちょうど浮かんでいるように見える。

そして、この白さは空気の、熱と水の暖かさ穏やかさを示していて、
生命が現れ出る場面ともなっている。

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