(  市)ルネサンスへ<2016-0520B



生きている「夢」。

すべてが偽(イツワ)りの世界の中で、夢のなかだけが真実であり、
夢の中だけが本当の自分なのであり、そうやって自分というのを
いだき、しっかりと抱きしめることが出来るのである。
「夢」とは妄想と感情だけの世界であり、現実の精神の苦しみや、
感覚の痛さからも解放された世界である。なにものにも縛られない
(悪しき意味での)真の自由、気まぐれ、思いのまま、思いつきや
感情だけが支配する世界である。だから、死をも恐れない。
恐れるもの、縛りつけるものは何もなく、あるのは、自分の思いと
感覚だけである。

なにかを感じて、感じるしかなく、感じなければならず、
かといて、現実に感じたいものなど何もなく、また、現実の世界で
感じるということ自体を放棄している以上、そうするしかないのである。
一人ぼっちの「夢」の世界を生き続けるしかないのである。
現実を否定している以上、その否定した現実のなかで自分を
見い出すしかなのである。それがニセモノだということは、
始めからわかっているのである。だから、より強くそれを求める。

空想と夢の象徴としての、幻(マボロシ)の世界に引きずり込まれてゆく。
そして、そうした夢が現実でなければならないのである。だからこそ、
夢のなかで生きることが出来る。現実は何もかもウソなのである。
だからこそまた、夢に生き、現実に耐えられるのである。

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