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4、錯覚。


もちろん、観念の世界だけでも、そうしたことが十分に起こり得る。例えば、自分のなかの何かの記憶の回想がそうなのであって、一人で思い出しては笑い出したり、怒ったり、憂欝になったりするのがそうである。

あるいは、身体表面や、身体内部の何らかの刺激といったものが、本来それとは無関係の何らかの記憶を呼び覚ますこともある。むしろ実際にあった出来事の記憶というよりも、偶然にその刺激と関連付けられた、条件反射とでもいったものなのである。

そうした、自分でもワケのわからない、自分の中にある印象やその条件反射といったものが、あるいは、自分の中の偶然の錯覚とでも言ったものが、自分の中で楽しさや悲しみ、苦しみといった感情を呼び起こしているのである。

もちろん、そうした感情というのは、現実の具体的で直接的な記憶から切り離された「記憶」であって、むしろ、感じ方や感性そのものに近いものなのである。だからまた、意味不明な自分でも不可解な感情や情緒の起伏として現れているのである。



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