~2 希望。
彼女のポジションは事業所内のハズレの方で、そしていつもみんなとは反対方向を向いている。だから彼女はいつも一人ぼっちで、みんなから離れていって、心が遠ざかり、影が薄くなって、彼女がとても小さく見えて来て、そしてこうしたことが、彼女をしてとっても可愛く見せる原因となっている。 際限なく、はてしなく、そして永遠の、限りない幻のように見えてくる。空間が歪み、薄れ、透けて、ゆれて、ぼやけて、裂けてゆく。そしてその狭間(はざま)から彼女の面影だけがくっきりと浮かび上がってくる。ほのかな、限りない、はるかにあおぎ見る永遠の世界である。 そして確かに彼女は一人ぼっちである。たくさん人のいる所内で女性は彼女一人なのである。所内の男性から見ると、男に無いもの、欠けているものがそこにある。はてしのない夢やあこがれ、けっして届くことの無い永遠の世界が、目の前のすぐそこにあるように思えてくるのである。 戻る。 続く。 |