index <  日誌 < K夫人:目次 47、「異界」



〜2 空白。

ずっと、ずっと昔から、もしかすると僕が生まれる以前からそうだったのかも知れない。僕という存在そのものが、そのようなものとしてこの世に送り込まれて、始めから何もかもがそのように仕組まれていて、僕はそれなくしては生きて行けなく出来ていた、僕の精神の中でもっとも大事なものが、始めから抜け落ちて、欠落したままでこの世に送り込まれたのである。その欠けた部分を自分で見つけるしかないように。

それなくしては生きて行けないような状態のままで、この世に産み落とされたのである。だから精神は、なんとしても、どうしても、それをさがし続けるしかないように、始めからそのように仕組まれ、セットされていたのである。

そうするしかなく、そうしてのみ、僕のタマシイは救われ、解体して死に始めた僕の精神は再生し得たのである。だからまた、さがし続けるしかなかったのである。自分が生きている限り、そしてこれからも生きようとする限り、ずっとそうであり続けるのである。そうするしかないのである。

そしてこの空白の部分、この欠落した部分こそが、実は、自分自身の真実のすがただったのだと思えてくるのである。なぜなら、それは自分にしかないもの、自分で、自分自身でさがして見つけるしかないものだったからである。

 戻る。                        続く。

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