〜3 衝動。
自分でも気づかないまま、心の奥底で、それと知らないまま求め続けていたのである。それと意識されないままで願い、望み、そして祈り続けていたものなのである。そして、いつしかそれを彼女の姿に見ていたのである。 だから興味深々で、気になって仕方がないし、際限なくあこがれてしまうのである。それはつまり、自分にないもの、欠けているもの、抜け落ちているもの、あるいはまた、どこかで見失い忘れてしまったものだったのである。そしてまた、それなくして僕はあり得なかったのである。 だからまた、何か言い知れぬ予感や暗示みたいなものをワケもないのに感じてしまうのである。それはきっと、なにかの象徴だったのである。まるで、もともと自分の中にあって眠っていた何かが、満ちて来て、溢れて、衝動となって自分を支配し、動かしているのである。ワケもなくイラつき、せっつかれ、追い立てられ、迫ってくるのである。言葉にならないワケのわからない衝動が自分を動かし、とらえて離さないのである。 それは、自分でもどうにもならず、外へ、自分の外へ出て行くしかないのである。いままでの自分を振り切って、捨てて、ワケのわからない未知の世界へと出て行くのである。そうする以外に自分を確める方法がなかったのである。すでに解体し始めた自分を再度統合するには、それ以外になかったのである。僕は、それまでの自分とは別の自分になるしかなかったのである。 戻る。 続く。 |