「古代ローマの自意識」
〜1、発見。
自分はどうなのかというのが、自分の外の強圧的な原理、権力が自分の外から押し付けてくる人格の強制、そしてその内面と外面の境界線を対称軸として、自分の内面に反射して映しだされる。自意識というのが、それとは正反対の、強圧的な抽象的原理の強制の中から意識されてくる。このような、精神の分裂を通して自分というのが意識されてくる。 屈従と反発と否定の中から、すべてが否定されたところから仕方なく、まことに仕方なく何かが生まれてくるのである。もともと何かがあったのであるが、それが全否定されることによって自分を省みざるを得なくなっている。 何もないところで自分をたしかめ、自分を探さざるを得なくなっている。そして自分で自分を見つけているのである。それと気づかないままで。そして実は、このような行為自体が自分自身そのものだったのである。自分は自分の中にしかいなかったのである。 |