「方向性」
~4、内的指向性。
しかし、それはまた、意識されざる方向性でもあって、人間が意図し自覚する目的や動機とは別の、人間自体の肉体の構造や仕組みそのものから来る方向性なのである。人間の意識ではなくて、自然の条件から制約されてくる方向性なのである。 人間は現実の世界で生きている以上、制約された現実の条件の中で生きて行く方向を見つけなければならず、そしてこれが現実の限られた選択肢が持つ方向性なのでる。あるいはまた、蓄積され条件反射と化した肉体の生理の作用や律動のパターンもまた、そうなのである。そうした生きている自分の肉体のカタチを基にして、そこから現実を生きて行くのである。 それらは人間の意思とは無関係の、人間の肉体と自然環境から求められ、導かれ、あるいは、そうせざるを得ない、それしかないような選択肢、つまり、方向性なのである。それは、人間の意思とは関係のない偶然の連続と、自然環境からくる必然の結果、そして肉体そのものが持つ内的な必然性と指向性、そしてそれが現実の可能な生存の方向性だったのである。 |