「かべ」
〜2、衝動。
しかし、それは同時に自分の中にあって、自分でもよくわからない部分なのである。だからまた、その理由というのが、どのようにも言うことができるし、また、その理由のすべてが正しいとも言えるし、正しくないとも言えるのである。 自分でもよくわからないというのは、このことなのである。何とでも理由がつけられるし、そしてまた、それを何とでも否定出来るということなのである。だとしたら、それはもしかすると、なんらかの「理由」というのとは別のものかも知れない。「理由」以前の本能とか衝動、情緒や気質といった本質的なものなのかも知れないのである。 もともと自分の中にあったもの、あるいはそれ以前から、自分が生まれる前から自分のものとしてあったもの、ということである。自分であるにもかかわらず、自分ではどうにもならないもの、自分でない部分。自分と外の世界(自然)が交流し合って区別もできない一体となった状態。精神というのが自分のものとも、自然のものとも、どちらとも言えず、それらが一体となって融合した状態。まるで意識が届かず、意識がまわりの自然にすっぽりと覆い尽くされて、身動きできなくなった状態である。 |