「感じ方」

〜1、別のもの。


人間は感覚を通してしか現実というのが見えてこない。そしてこの「感覚」自体、現実を選り好みし取捨選択しているのである。そしてこの「感じ方」の傾向自体も変化し続けているのである。すなわち、人間の感じ方というのと現実とは本来別のものだということである。

だからまた、感覚は必ずしも現実をそのまま反映しているとは言えないのである。人間が見ているものと、現実のものとは必ずしも同じものではないのである。人間が見ている世界というのは、それが目の中で反映した「写し」を見ているのに過ぎないのである。

人間は必ずしも現実そのものを見ているのではない。それは、感覚を通して見た、現実と自分自身とのかかわり方を見ているのである。また、そうしたかかわり方を通してしか現実の世界というのは見えて来ないのである。それが人間にとっての必要なのであり、興味であり、見ることの動機であり、目的となっているのである。

目次へ             つづく。