「見える世界」
〜2、光学的映像。
光とは電磁波のことなのであるが、人間が見ることの出来る光の範囲は、およそ決まっていて、赤から青の範囲で、それ以外の波長は熱とか紫外線として、目以外の触覚で感じている。熱いとか痛いというのがそれである。 × × 人間の目に見えるもの。それはなによりも「光」として、人間の目(水晶体:レンズ)を透して網膜(スクリーン)に映し出された映像である。それは言わば「光学的映像」であって、言い換えると、この光学的映像によって、人間が見る映像というのが定められているということである。 こうした光学的映像をもたらしている目の仕組みや構造によって、人間の目に見えるものが左右され、影響され、変形されてもいて、そしてそれが見えているということなのである。つまり、人間の目に見えているものが必ずしもそのまま、現実を反映したものではないということである。人間は自分の都合に従ってものを見ているのであって、光学的にも、物理的にも、生理的にも、観念的にもそうである。 まず、光そのものの性質がある。光そのものが屈折・偏光・反射・透過・回折するのである。だから、現実に無いものが見えて来たり、位置がズレていたり、揺れ動いたり、色違いなどが起こったりもする。 それらは主に人間と物との間にある、空気の存在がその原因となっている。蜃気楼、カゲロウ、虹(にじ)などもそうである。この場合、人間の目は現実に無いものを見ているのである。 幻(まぼろし)もそうであるが、それはむしろ、人間の中にある心理的で観念的な心の動揺が、その動機と原因になっている。こうして人間の目は実際に無いものを映し出している。人間は、現実に無いものを見ていることがある。 |