「異人種」

~2、結合力。


そしてそうしたことは、その人間の生き方や顔ツキとその表情、そのしぐさとして現れている。だからまた、外から見ただけでもそれとわかるのであって、言い換えると、そうしたしぐさや顔ツキから見てとれる、その人間の感情や感じ方や感覚自体が、社会にとっての制裁と迫害の対象として、また、罪として追及され裁かれることになる。

感情や感受性はその人間の個性であって、人格やプライバシーなのであるが、それが罪として裁かれるのである。そしてそうした迫害がまた、社会にとっての共有の意識、人々をつなぐキズナ、社会全体を統合する結合力となっているのである。そうやって社会がまとめ上げられ、統治され、支配されている。

自己意識のない社会にあっては、人格やプライバシーの概念もなく、自分と他人の区別もまた曖昧(あいまい)であって、自分たちみんなと異なる感情や意識は理解できない未知のもの、訳(わけ)のわからないもの、従ってまた、あってはならないもの、有るはずの無いもの、あり得ないもの、そしてまた、災いのタネとして排除される。

そしてこの排除の行為が民族統合の象徴として、そして、あるいはその儀式として重要な意味を帯びてくるのである。

もどる。             つづく。