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〜2、意味。



現実に生きている自分自身の、
裂けて傷ついた肉体の奥から、なにかが溢(あふ)れてくる。
中から、生のままの、得体の知れない生き物が
死にそうに、息も絶えだえになりながら、押し出されてくる。
これが、自分自身の本当の姿なのである。

遠い山々の向こう側から、
はてしない空のかなたから、
限りない海の奥底から、
つぶやき、ささやき、聞こえてくるのは、
何かの忘れ物、見失ったもの、
自分のなかで失われていったもの。
それらが、自分のなかでささやき、語りかけ、呼びかけている。
そして求め、いざない、手を差し伸べている。

自分のなかにある、タマシイが揺れてきしんで裂けてゆく。
それまで、気づくことも、知ることもなかった、どうでもよかった現実の
世界が、その本当の意味を、あらわにしてくる。

     戻る。                     続く。


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