17目次へ < さまようタマシイ。
〜2、意味。
現実に生きている自分自身の、 裂けて傷ついた肉体の奥から、なにかが溢(あふ)れてくる。 中から、生のままの、得体の知れない生き物が 死にそうに、息も絶えだえになりながら、押し出されてくる。 これが、自分自身の本当の姿なのである。 遠い山々の向こう側から、 はてしない空のかなたから、 限りない海の奥底から、 つぶやき、ささやき、聞こえてくるのは、 何かの忘れ物、見失ったもの、 自分のなかで失われていったもの。 それらが、自分のなかでささやき、語りかけ、呼びかけている。 そして求め、いざない、手を差し伸べている。 自分のなかにある、タマシイが揺れてきしんで裂けてゆく。 それまで、気づくことも、知ることもなかった、どうでもよかった現実の 世界が、その本当の意味を、あらわにしてくる。 戻る。 続く。 |
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